梅毒の初期症状とは?感染経路・潜伏期間と治療・検査方法を徹底解説!
近年、性交渉によって感染者が急増している梅毒。
初期症状はどのようなものがあるのでしょうか?
感染経路と潜伏期間、治療法と検査方法を徹底解説していきます!
また、梅毒は妊娠中の女性が感染すると、死産や早産、奇形など先天梅毒の恐れがあります。
妊活中や妊娠中の方もぜひ読んで下さい。
梅毒患者が20代で急増中
日本では1978年以降大きな動きのなかった梅毒が、近年、感染者が急増していることで話題になっています。
1978年以降は、年間平均500人ほどの感染者で推移していた梅毒でしたが、2017年11月19日時点で5053人に達してしまいました。
都道府県別で見てみると、東京が1561人と圧倒的に多く、大阪で703人、愛知で310人と都心を中心に広がっています。
男性は25歳~29歳、女性は20歳から24歳という若い世代に特に多いようです。
結婚や妊娠を意識する年代のため、梅毒による自分自身の苦しみよりも、妊娠との関係で辛い思いをする人が多くなってしまうことにもなりかねません。
梅毒感染者が増えていることは将来の日本にとっても大きな問題です。
梅毒とは?
梅毒とは「梅毒トレポネーマ」という病原体が体内に侵入することで発症する感染症です。
この梅毒トレポネーマは、らせん状で細い糸状の形をしているのが特徴です。
梅毒トレポネーマは人の体液内の低酸素状態でのみ生存する細菌で、体外に出た場合は生きられない性質です。
また、HIVウイルスに感染しやすくなるという特徴があるので、絶対に放置してはいけない細菌です。
梅毒の潜伏期間と症状
梅毒に感染すると、潜伏期間を経てさまざまな症状を発症します。
まれに無症候性梅毒という、一切症状がなく長年気づかないで過ごすケースもあります。
多くの場合、梅毒に感染すると約1週間~13週間の潜伏期間があり、リンパ節炎や皮膚症状が現れます。
梅毒は時間の経過とともに段階的に進行していく感染症で、潜伏期間を経て初期症状の1期~4期に分けられています。
それぞれ第1期(初期症状)から第4期(末期症状)までを解説していきますね!
【第1期】感染後1週間~3ヶ月(初期症状)
潜伏期間のあと、初期症状に入ります。
初期症状といっても、症状が出始めた段階からすでに梅毒の第1期(早期梅毒)に入っている状態になっています。
まず、初期症状として以下のような症状が現れます。
・男女ともに赤いしこりができる
・どちらも痛みはほぼない
・男性:陰茎(亀頭、包皮、冠状溝)
・女性:大陰唇や小陰唇、膣の周辺
男女ともに、梅毒トレポネーマが侵入した部位に痛みのないしこりが発生します。
このしこりは豆粒ほどで膿を出すようになり、硬性下疳(こうせいげかん)といいます。
だいたい2~3週間でしこりが消えますが、まれに潰瘍になることがあるので軽視は禁物です。
同時にこのころは、足の付け根(鼠径部)のリンパ節が腫れることもあります。
痛みがなかったり腫瘍がなくなると「治った」と思ってしまう方が多いのですが、梅毒が自然に治ることはありません。
そのままどんどん進行してしまいますので、赤いしこりやリンパが腫れていると思ったらすぐに病院へ行きましょう。
【第2期】感染後3ヶ月〜3年
第1期の時点で治療をしていれば、第2期に進行することはありません。
しかし、何も治療しないで放置しておけば第2期へと進行してしまいます。
感染後3ヶ月~3年後を第2期と呼び、以下のような症状が現れます。
・全身に変化が現れる
・リンパ節が腫れる、発熱、倦怠感、関節痛
第2期では主に皮膚への変化が現れます。
皮膚への変化は様々で、目に見えてわかる状態になるものがほとんどです。
バラ疹 | バラの花びらを散らしたような湿疹。 色は赤や赤紫などが多く、ひとつひとつの大きさは約1~2cm程度。 顔や首、胸、腹、手足、背中など全身にあらわれます。 基本的に無痛で、時間の経過とともに治まりますが治っていません。 バラ疹が出て、初めて梅毒と気がつくケースが多くなっています。 |
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梅毒性丘疹 | バラ疹が治まると、梅毒性丘疹があらわれます。 バラ疹よりも小さく、色は白っぽいのが特徴。 硬性下疳のように硬さがあり、全身にあらわれます。 |
扁平コンジローマ | 梅毒性の丘疹が、肛門、陰部、脇の下、乳房の下等など湿り気がある場所にできる丘疹。 えんどう豆ほどの大きさがあり、白く盛り上がり柔らかいイボのようになります。 尖圭コンジローマと名前が似ていますが全く別物です。 扁平コンジローマはただれて分泌液が出るのが特徴です。 |
梅毒性乾癬 | 手のひらや足の裏など、皮膚の硬い部位に発生した場合に出る症状。 少し盛り上がった丘疹に、カサカサに乾燥した皮が付着しているのが特徴です。 引っ搔くとポロポロと皮が剥がれ落ちます。 |
その他の症状 | 喉の扁桃炎(梅毒性アンギーナ)や口内炎、円形脱毛症になる場合もあります。 この他、リンパの腫れ、発熱など風邪に似た症状がでることもあります。 |
第2期の梅毒は、風邪に似た症状がありますがこれだけでは判断ができません。
皮膚への明らかな異常で気が付く方が多いのです。
しかし、第2期の症状もいつの間にか治まってしまうため、第1期同様に治ったと思ってしまう方も多いようです。
繰り返しますが、梅毒は自然に治ることはありません・・・。
【潜伏梅毒】第2期後
梅毒の第2期が終わると、第3期の前に潜伏梅毒という潜伏期間に入ります。
この潜伏期間は、第2期の症状が再発するだけで、その他の変化は見られません。
ここで治療をしておけば、第3期への進行を止めることができます。
第3期になると、命に関わってくる重篤な問題になってきますので、第1期~第2期の間に発見して治療しなくてはいけません。
症状が治まってまた発症した・・・という場合は、第2期後の潜伏期間の可能性がありますので、直ちに病院へ行くようにして下さい。
【第3期】感染後3年〜10年
早期梅毒の第1期~第2期で治療をしなかった場合、第3期へ進行します。
第3期になると、感染力は弱くなり他人へ移す確率は低くなります。
感染後3年~10年を第3期と呼び、以下のような症状が現れます。
・梅毒が全身に回ってしまっている
・皮膚や筋肉、骨に、ゴム腫と呼ばれるゴムのような腫瘍が発生
・血管に炎症
・神経症状を引き起こす「神経梅毒」が発症
第3期になると、ゴムのような弾性を持つ腫瘍がでてきます。
この腫瘍は皮膚のみだけでなく、骨や筋肉、肝臓や腎臓といった内部の器官にも生じます。
これにより、各器官は組織が壊されていき、命に関わる深刻な問題になっていくのです。
また、このゴム腫は傷跡として残る場合もあります。
しかし、現代では早期に治療を行うためこの症状が発生することはほとんどありません。
ありませんが、それでも気が付かずに第3期まで来てしまう人もいるのです。
【第4期】感染後10年~
第3期を経て進行していくと、第4期の末期症状になってしまいます。
感染後10年以上経過した状態を第4期と呼び、以下のような症状が現れます。
・多くの臓器に腫瘍が発生
・麻痺性痴呆
・脊髄癆を発症
・歩行困難
・言語障害
第4期までくると、心臓やその他の内臓、血管や神経が侵され、視覚や聴覚が失われはじめます。
大動脈炎や大動脈瘤を引き起こすこともあります。
また、脳や脊髄にも腫瘍ができるため痴呆や歩行困難、言語障害といった症状もでます。
最悪の場合、死に至ってしまう本当に怖い状態になってしまいます。
近年では、第4期まで来ることはほとんど見かけなくなりましたが、昔はよく梅毒で死ぬという話がありました。
これはペニシリンなどの治療薬がなかったことから「死の病気」と言われていたのです。
知れば知るほど怖い感染症ですよね・・・。
梅毒の感染経路は?
梅毒トレポネーマは、人の体液内でのみ生存する特殊な細菌です。
そのため輸血や母子感染、性交渉が最も多い感染経路で感染のリスクが高くなってしまいます。
性交渉に関しては、オーラルセックス、アナルセックスでも性器やのど、直腸などからも感染します。
また性交渉に至らなくても、口の中に梅毒トレポネーマが潜んでいた場合は、キスなどの唾液を介する行為で感染してしまいます。
近年特に多い梅毒感染者急増の感染経路は、男女間の性交渉だと言われています。
原因の1つとして、無料通話アプリなどの普及により、SNSを介して見知らぬ男女が出会うことに抵抗がなくなってしまったことがあげられます。
セックスの頻度が増え、多くの異性と性交渉することが増えているということですね・・・。
梅毒は温泉等からでもうつる?
梅毒は性交渉での感染が特に多いとされていますが、「性交渉以外でもうつるのか?温泉でもうつるのか?」と医師に聞く方も少なくありません。
性病は性交渉をしていなくても、温泉や銭湯でうつることがありますので、梅毒も同じようにうつるのか気になるところです。
結論から言うと、温泉等でもうつる可能性はゼロではないのです。
梅毒感染者が増えている現状では、誰でもうつる可能性はあります。
ただし、お湯につかったからうつるというわけではありません。
温泉や銭湯などでうつる可能性としては、時間を置かずすぐそこに誰かが座って粘膜と病原体が出会ってしまうことです。
つまり、梅毒の方が座った椅子にすぐに座って自分の傷口に触れてしまったケースなどですね・・・。
梅毒は粘膜や傷口から入り込んで感染しますので、接触することで感染します。
傷口がある場合は、温泉や銭湯なども避けた方が良いですねm(_ _)m
梅毒にならないための予防対策は?
梅毒に感染しないための予防対策はとても大切です。
梅毒は感染部位と粘膜や皮膚が直接触れることで感染します。
体液同士が触れることでも感染するので、唾液や血液その他の体液にも注意しましょう。
性交渉は必ずコンドームは着用するようにして下さい。
ただし、コンドームが覆わない部位からの感染もあるので、過信は禁物です。
また、梅毒に感染し、適切な治療を受け終了した方は、体内に梅毒の抗体ができます。
この抗体は他の感染症のように、再感染を予防できるものではありません。
治療が終了しても再感染するリスクは、周囲の方と同じようにありますので、油断してはいけません。
どのような性交渉であっても粘膜や皮膚から感染しますので、オーラルセックスだけ、アナルセックスだから大丈夫、キスだけだから平気、といった自己判断はしないようにして下さい。
梅毒の治療方法は?
梅毒の治療には、ペニシリン系とセフェム系の抗生物質を使用します。
感染から経過した時間が長いほど、長期間の治療が必要となってしまうので、定期的に検査をして早期発見が大切になります。
一般的な投与期間は、以下のようになっています。
第1期:2週間から4週間
第2期:4週間から8週間
第3期:8週間から12週間
また、治療開始から数時間の間は、39度を超える発熱や、全身の倦怠感、悪寒や頭痛、筋肉痛などの諸症状がでることがあります。
治療のための反応のため避けることは難しいですが、場合によっては入院して治療する方もいます。
普段から薬で副作用が強い方は、事前に医師に相談してみてくださいね!
梅毒感染歴がある人が妊娠するとどうなる?
さて、ここでもう1つ知っておいてほしいことがあります。
梅毒は20代に急増していると最初の方で説明したのですが、20代といえば結婚、妊娠、出産に関わってくる年齢でもありますよね。
もしも妊娠前に梅毒に感染した経験がある女性は、妊娠に関する恐ろしいリスクがあるということも知っておいてほしいのです。
梅毒の感染力は、感染後は時間の経過とともに弱くなります。
もちろん適切な治療を行えば、治療後に妊娠したとしてもリスクは低くなり、出産することもできます。
妊娠前に梅毒の感染歴がある女性で、適切な治療を行った場合、感染から4年経過すると、性行為による感染はほぼなくなると言われています。
そのため、梅毒感染歴がある女性は、4年間は梅毒の再感染と妊娠を避けることが理想的です。
少なくとも4年間は妊娠を避けるように心がければ、胎児への影響も避けることができ、母子感染の可能性もほぼなくなります。
適切な治療を行わなかった場合は、妊娠した胎児への感染率は80%と非情に高くなってしまいます。
さらに、胎児は流産、早産、死産、産後間もなくの死亡といったリスクがとても高くなります。
仮に妊娠が成立し継続できたとしても奇形や先天性の異常が見つかることもあり、いずれの場合も赤ちゃんは長く生きることができないケースがほとんどです。
妊娠中の梅毒感染による胎児への影響は?
梅毒は、妊娠前だけでなく妊娠中の感染でもリスクがある感染症です。
妊娠中に梅毒に感染した場合、胎盤を経由した赤ちゃんへの感染率は非常に高くなります。
また、流産、早産、死産、産後の死亡の可能性が高くなり、死産や産後の死亡に関しては40%ものリスクがあります・・・。
近年では、妊娠がわかると初期の段階で梅毒に感染していないか検査が義務付けられています。
妊婦検診に含まれているため、妊婦さんのほとんどがこの検査を受けます。
私の場合は、梅毒だけでなくHIVやクラミジアなどの検査も一緒にしてもらいました!
やっぱり何かあると怖いですからね・・・(T_T)
きちんと検査をうけることで、知らぬ間に母子感染するケースはほとんどなくなり、仮に感染していたとしても適切な処置を受けられます。
適切な処置を受けることで胎児への影響も軽減させることができ、さまざまなリスクはもちろん、最悪の事態も避けることができます。
医療機関で梅毒検査を受けよう
梅毒は感染しても即日すぐに症状が出ることが少ないので、軽視して医療機関を受診しない方も多くいます。
これは梅毒だけでなく、何か症状がなければ病院ってなかなかいかない場所ですよね・・・。
症状が出て悪化すると、結果的に感染者を増やしてしまい、自分自身にも心身の負担が大きくなります。
早期発見し、早期治療するには医療機関を受診することが何よりも確実な方法です。
以下の方は梅毒の検査を受けるようにして下さい。
・梅毒の第1期~第2期のような症状が出ている
・妊活をしている
・妊娠をしている
受診する診療科は、男性なら、皮膚科、泌尿器科。
女性なら皮膚科、婦人科、性病科が適しています。
妊娠中は定期検診で検査してくれますが、妊活中は自己判断で検査を受けなくてはいけません。
妊活をしようと思っている方、既に妊活を始めている方は、気になる症状がなくても予防策として検査はしておくのが安心です。
自宅でできる検査キッドも紹介
医療機関で検査をすることに抵抗がある方は、自宅で検査できるキットがあります。
ちょっといつもと違うな・・・、でも病院に行くのは恥ずかしいな・・・って思う方も少なくないと思います。
検査キットは、梅毒に特化したものから、数種類の性病と合わせて検査できるものまであり、以下のように検査ができます。
・郵送、メール、電話でキットを購入
・専用の器具で指先から採血
・シートに採取して送付
・郵送、メール、電話のいずれかで結果を聞く
色々なキットがありますが、ふじメディカルがおすすめ。
ふじメディカルは横浜市の衛生検査所で、梅毒だけでなくHIVやクラミジアなどの検査も同時に行えるキットも取り扱っています。
自社ラボなので、検査所に到着後すぐに検査され、最短で翌日には検査結果を知ることができます。
少しでも早く結果を知りたい・・・!という方にも安心ですね。
また、県内外にも提携病院が複数ありますので、もしも検査結果に異常が出た場合の病院選びもサポートしてくれます(^-^*)/